介護事業者のための外国人人材受入れ体制の整備

介護事業者における外国人人材の受入れ

介護分野における外国人人材の受入れは、よく活用される在留資格としても「技能実習」、「特定技能」、「介護」、「特定活動(EPA)」があり、その他にも近年、外国人向けの介護施設の利用案内を行う方として働くことが可能な「技術・人文知識・国際業務」や、介護の現場を統括する人材として働くことが想定できる「特定活動(本邦大学卒業者)」の在留資格があり、いざ取り組もうと考えると、何から取り組んで良いかわからなくなるかもしれません。

介護分野では複数制度があるからこそ、どういった受入れを行い、その後の人材育成体制をどのように構築していくかを考える必要性が高いといえます。


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受入れのルート

介護分野は、上記のとおり受入れ制度が複数あるため、日本に来るルートには様々なパターンが考えられます。「技能実習」をスタートとして、「特定技能1号」へ変更し、その後「留学」を経て介護福祉士の資格を取得し、在留資格「介護」へ切り替えるなど、様々なパターンが考えられます。

受入れのルート

このような、介護分野における、様々なルートによって人材を採用することができ、育成ができることは、介護事業者においても採用を行う上で各制度を理解し、適切に制度へ取り組むことができれば、良い人材を採用することができる可能性が高まるという意味で、取り組みがいや工夫のしがいがあるともいえます。

制度が複数あることへの対応

他方で、制度が複数あることは、良い点ばかりではありません。

まず、制度が複数あることによって、複雑な印象から、「どの制度で受け入れよう」といった制度選択論のような視点になってしまうことが上げられます。

いずれの制度も趣旨は異なりますし、排他的なものではありません。それぞれの介護事業者の置かれている状況や目的、そして、働きに来てくれる外国人の状況によって活用する制度は異なると思います。「どの制度が良いか」という制度の選択論ではなく、施設の状況や目的に合致した制度は何か、それぞれの制度を理解することが必要になるといえます。

また、制度が複数ある場合、各制度間において労働条件に違いが生じることがあります。ですが、労働条件は、職務の内容等に対応するものであり、制度に対応するものではありません。受入れ制度が異なったとしても、同じ職務の内容等であれば、支払われる報酬等の労働条件は同じになるのが原則であり、もし異なった報酬等である場合、働く外国人においても、「なぜ、同じ仕事をしているのに報酬等が異なるのか」と違和感を持つかもしれません。

受け入れる側から見たら、制度が異なれば、異なった労働条件であることは当然のように感じますが、働く人から見たら、同じ職場で同じように仕事をしていれば、制度が異なることは、労働条件が異なることを正当化する理由としては十分ではないように思います。

そのため、複数の制度があり、同時に複数の制度により人材を受け入れる場合、制度の違いを過度に重視しないように注意が必要だといえます。

 
 
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人材育成について

介護分野における人材育成

介護分野は、在留資格「介護」があることにより、「技能実習」、「特定技能1号」を経て、在留期間の更新について上限のない在留資格に切り替えることができる分野であり、日本で長く働くことを希望する外国人から見た場合、介護分野で働くことを選択することはメリットがあるといえます。

また、採用する施設の側から見た場合でも、能力があり、仕事の範囲も広く、また、長期にわたって働いてくれる可能性がある「介護」の在留資格を有する人材は、魅力的な人材であるといえます。

他方で、最終的に「介護」の在留資格を得るには、介護福祉士の資格を取得しなければなりません。そのため、受け入れる側としては、このような長期にわたる人材育成の仕組みやプランを持つことが、人材採用上の競争力になるとも言えます。

人材育成の具体的な取り組み

介護分野では、外国人材を受け入れる産業分野においても、人材育成が活発な分野の一つであるように感じます。これは、利用者や同僚とコミュニケーションをとる必要があるという点で日本語能力が求められることもありますし、医療・福祉分野の専門職につながるという意味で、専門性も求められることが理由であるように思います。実際、ある施設では、受け入れている技能実習生が学会報告を行った事例もあり、専門性を重視する傾向を伺い知ることができます。

他方で、このような人材育成への取り組みは、一朝一夕では作ることができない体制だと思います。外国人だけではなく、日本人も含めた介護職のキャリア形成の視点を持ち、法人として、どのように育成していくのかという体制を作る必要性があるといえます。

外国人人材の育成についてさらに詳しく知りたい方は「外国人介護士との円滑なコミュニケーション方法と指導する際のポイントを解説」「外国人介護人材への指導は難しい?教育・研修・マニュアルのポイント解説」もご参考にしてください。

こういった体制を構築することができれば、外国人から選ばれる職場になるというだけではなく、国籍に関係なく広く人材から選ばれる施設になることができるのではないでしょうか。

外国人だけではなく、様々なバックグランドの人に働いてもらいやすい体制を整備することが、重要であるといえます。

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