昨今話題となっている介護職の外国人採用。しかしながら、「今はまだ日本人でまかなえているから」「将来本当に困ったときに受け入れればいいか」と考えている介護施設が多いのが現状です。それでは一体いつ頃から外国人採用は検討すべきなのでしょうか。結論から言えば、外国人採用は今すぐ取り掛かるべきです。今回はなぜ外国人採用は今すぐ取り掛かるべきなのか、その理由からおすすめの採用方法まで徹底的に解説いたします。
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介護業界における人材不足は深刻です。2021年の厚生労働省の発表によると2025年には32万人、2040年には69万人の介護職員が不足する見込みとなっています。
出典:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
介護職員の数は国の施策などにより増加傾向ですが、それ以上のペースで要介護者が増えているのが、人材不足の一因です。
出典:介護職員数の推移
介護労働安定センターの調査では、「人材不足と感じている」と答えた介護施設は65%に上ります。またそのうち90%が「募集をかけても採用できない」と答えており、介護職員の採用にハードルを感じている施設は多いです。
出典:令和元年度「介護労働実態調査」の結果
人材不足や採用難に悩まされる施設が多い中、人材の確保に成功している施設も存在します。人材不足の解消方法はさまざまですが、その中で今最も主流となっているのが、外国人人材の採用です。外国人人材の採用方法は主に4つありますが、それぞれ目的が違います。目的ごとに採用方法が違いますので、施設の課題はなんなのか、その課題を解決するにはどの採用方法がいいのかをしっかり検討する必要があります。採用方法ごとの違いは下記表をご確認ください。
技能実習
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母国に技術を持ち帰るために日本で実習するためのビザ |
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特定技能
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人材不足解消のために新しくできた就労するためのビザ |
在留資格「介護」
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介護福祉士を取得している人が日本で介護の就労出来るビザ |
EPA
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看護師や介護福祉士を資格取得するためのビザ |
この中で現在増加傾向にあるのが在留資格「介護」と特定技能です。在留資格「介護」と特定技能はいずれも就労を目的としたビザですが、在留資格「介護」のビザを取得するには2つの要件があります。
外国人が日本の介護福祉士の試験に合格することは難しく、令和3年の時点で在留資格「介護」を取得する外国人は3794人と、母数の確保が厳しいのが現状です。一方で特定技能は令和4年3月時点で7019人となっており、これからコロナによる入国制限も緩和され、ますます増加する見込みとなっています。
※訪問系のサービスでは採用不可
このように他の在留資格と比較しても採用するメリットが多く、介護施設からのニーズも高まっています。
これから更に数が増え、在留資格「介護」と比較すると母数の確保もしやすい特定技能。そうであれば、「やはり今すぐではなく将来困ったときに検討すればいいのでは?」と考えるのではないでしょうか。しかし特定技能の採用はすぐに取り掛かる方が、より多くのメリットを得ることができます。その理由は4つです。
特定技能の介護分野は受け入れ上限人数が6万人までと決まっており、その上限に達した場合、受け入れが停止される可能性があります。すでに「産業機械製造業分野」における特定技能1号は上限人数に達したため、2022年4月以降在留資格が一時交付停止になっています。(※2022年7月時点)ニーズがあれば受け入れ上限が増える可能性はありますが、「採用したい」と思ったタイミングで交付停止になっているということも考えられるので、早めに採用することをおすすめします。
現在特定技能の人材を育成する送り出し機関では、特定技能外国人が日本での働き口を探して順番待ちをしている状態です。基本的に施設側は複数の外国人と面接を行い、選ばれた人材から日本に来るシステムとなっているため、良い人材からどんどん雇用先が決まっていきます。良い人材を確保したいなら、多数の候補者を比較・検討できる今の段階から踏み切るべきだと言えます。
特定技能外国人を国外からの受け入れる場合は面接で内定を出し、その後手続きを行うため、就業まで3〜6ヶ月程度要します。
すでに国内にいる特定技能外国人であればすぐに就業可能です。しかし国内にいる特定技能外国人は、すでに就業先が決定している場合が多く、就業先を探している特定技能外国人がタイミングよく見つかることは少ないため、注意が必要です。
いくら日本語や日本の介護について学んだ人材とは言え、文化の違う外国人を受け入れるということに変わりありません。現場への理解や受入環境の整備など、様々な準備が必要です。全ての業務を任せられる人材になるまでには時間を要するため、早めに採用し、しっかりと育成していくことが大切です。日本人介護福祉士の新卒を採用した場合も、夜勤を始めるまでには半年から1年程度必要ですので、外国人人材の場合は同等かそれ以上のペースでゆっくりと日本や介護に慣れる時間を与え、特定技能外国人にとって居心地の良い職場環境を作って行きましょう。