日本に在留する中長期在留者に区分される外国人は、原則として「在留カード」を所持しており、在留カードを携帯する義務が課されていたり、また、在留カード自体に在留期間とは別に在留カードの有効期限が設定されています。
今回はこのような在留カードにまつわる事項について概説したいと思います。
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在留カードの交付を受ける人は、「中長期在留者」に分類される人です。中長期在留者とは、次に該当する方以外の方をいいます。
すなわち、3ヶ月を超える在留期間が決定された方であって、在留資格が「短期滞在」、「外交」、「公用」、一部の「特定活動」以外の方が中長期在留者に分類されることになり、在留カードの交付を受けることになります。
在留カードには様々な事項が記載されます。例えば、氏名や国・地域等です(入管法施行規則19条の6)。
在留カードの記載事項については、実際の在留カードの券面を見てみた方がわかりやすいと思いますので、法務省の資料から在留カードの例を引用します。
表面には在留カード番号、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、就労制限の有無、在留期間、許可の種類、許可年月日、交付年月日、在留カードの有効期間が記載されています。
この在留カード番号と在留カードの有効期間を用いて、在留カードが失効していないかを「出入国在留管理庁在留カード等番号失効情報照会」により調べることができます。ですが、現在流通している偽造在留カードには、正しい在留カード番号と在留カードの有効期間を流用して作成されたものがあります。ですので、「出入国在留管理庁在留カード等番号失効情報照会」のみでは偽造された在留カードであるかは判断できず、別途、在留カードのICチップ読取アプリケーションなどで偽造・変造の有無を確認することになります。
裏面には、住居地の変更の他、資格外活動の許可の有無、在留資格変更・更新許可申請中の有無が記載されます。
在留カードの出典:法務省ウェブサイト
中長期在留者は、在留カードの携帯義務があります(入管法23条2項)。そして、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官、公共職業安定所の職員等が在留カードの提示を求めた場合、当該職員等に在留カードを提示する義務があります(入管法23条3項)。
在留カードについては、この規定に基づいて職務質問の際に提示を求められることがあります。外出する際には在留カードを携帯することを忘れないようにする必要があります。
在留カードの交付を受けている方は、在留カードに関して、次の事項の届出義務を負います。
届出事項 | 根拠 |
---|---|
住居地 | 入管法19条の7(新規上陸時) 入管法19条の8(在留資格変更等時) 入管法19条の9(住居地の変更時) |
住居地以外の在留カード記載事項 | 入管法19条の10 |
在留カードには、在留期間とは別に、在留カード自体の有効期間が設定されています。通常は在留カードの有効期間は在留期間と同じですので、在留カードの有効期間の更新を、独自に行う必要はありません。
ですが「永住者」など、在留資格自体に在留期間が設定されていない場合等には、在留カードの有効期間の更新を行う必要があります(入管法19条の11)。
手続としては、在留カードの有効期間の更新申請を行います。
在留カードを紛失してしまった場合や汚損してしまった場合には、再交付の申請を行うことができます(入管法19条の12、入管法19条の13)。
手続としては、在留カード再交付申請書等の書類一式を当該外国人の住所地を管轄する地方出入国在留管理官署に提出して行います。
これまでご覧いただいたとおり、在留カードに関しても携帯義務や届出、紛失したときの対応等、様々な事項が法律で定められています。そして、これらの事項は、実際に働いてくれている外国人にとってはあまり馴染みのない事項であったり、一度の説明では理解がしにくい事項かもしれません。
他方で、多くの外国人は、在留カードが重要なものであるという認識を持っており、在留カードに関して紛失等のトラブルが生じた場合、不安を感じることが多いと思います。
雇用主の立場である介護施設としては、上記の在留カードに関するルールをご理解頂き、状況に応じて適切に外国人に説明や助言をできる体制を構築することが望まれます。