登録支援機関とは、在留資格「特定技能」の外国人を受け入れるにあたって、入国から帰国までのサポートを行う機関です。外国人材を採用したい企業(受入れ機関)は特定技能外国人に対し、事前ガイダンスや定期的な面談などさまざまな支援を行う義務がありますが、その支援のすべて、もしくは一部を登録支援機関に委託することができます。
この記事では、登録支援機関に委託できる支援内容について、ひとつずつ詳しく解説します。信頼できる登録支援機関の選び方も解説しているため、初めて特定技能外国人を受け入れる企業は参考にしてください。
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登録支援機関とは、在留資格「特定技能」の制度を利用し、日本で就労する外国人に対し、入国時の送迎や住居の確保などさまざまな支援を行う機関です。外国人材を採用したい企業(受入れ機関)に代わって、社会生活や日常生活のサポートを行い、特定技能外国人が日本で働きやすい環境を整える役割があります。
受入れ機関は事前ガイダンスや定期的な面談、生活上必要なライフラインの手続きなど、支援計画に盛り込むべき9つの支援業務のすべて、または一部を委託することができます。
登録支援機関の委託費用は、月額1万5千~3万円(1名あたり)が相場といわれています。月額制以外に、支援業務ごとに2~3万円ほどの費用が設定されている場合もあります。登録支援機関によって費用は異なるので、複数の機関から相見積もりをとり、比較することがおすすめです。
特定技能外国人に対する支援は、必ず実施すべき義務的支援と、必要に応じて行う任意的支援の2種類があり、登録支援機関には9つの支援内容のすべてを委託することができます。ここでは登録支援機関に委託できる支援内容について、ひとつずつ詳しく解説していきます。
事前ガイダンスでは、日本で働く際に必要な情報や注意点、雇用契約の内容などをあらかじめ説明します。事前ガイダンスのタイミングは、「在留資格認定証明書」の交付申請前です。
義務的支援 | 特定技能雇用契約の内容、受入れ企業で行える活動内容、報酬や労働条件、入国の手続きや在留のための条件、受入れ企業側の支援体制、注意事項などを事前に知らせる必要がある。 |
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任意的支援 | 入国時の日本の気候や服装、持参すべき物、入国後しばらく必要になる費用とその用途などを知らせる。 |
事前ガイダンスは対面以外に、Web面接ツールなどを使ったオンライン面談でも可能です。ただし必ずお互いの顔が認識できる状態で行う必要があるため、それぞれのパソコンでカメラ機能が使えるか事前に確認しましょう。
特定技能外国人が出国または入国する際には、空港や港への送迎が必要になります。社用車などがない場合は、電車やバスなど公共の交通機関を使っても構いません。ただし登録支援機関が車で送迎を行う場合は、道路運送法上の許可が必要となります。
義務的支援 | 上陸の手続きを受ける空港や港などから、受入れ企業までの送迎を行う。出国後も同様。さらに保安検査場の前まで見送りを行い、無事に入場できたか確認すること。 |
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日本で暮らすための住居の契約や、ライフラインの手続きなども支援が必要です。
義務的支援 | 賃貸物件に関する情報を提供し、必要に応じて内見や賃貸契約の場に同行する。居室の広さにも規定があり、ひとりあたり7.5㎡以上の面積が必要。 ※転居する場合も同様 |
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任意的支援 | 雇用契約の解除後、支援が必要だと判断した場合は、義務的支援と同様の支援を行う。 |
義務的支援 | 銀行口座の開設、そのほかガスや水道などライフラインに関する契約の補助を行う。書類の準備や、手続きの際の同行など。 |
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任意的支援 | 契約内容の変更や契約の解約を行う際に、スムーズに手続きができるよう補助を行う。 |
生活オリエンテーションとは入国後に行う説明会のことで、職場や生活上におけるルールなどを説明します。
義務的支援 | 特定技能外国人が提出すべき届出や行うべき手続き、急病時の対応や医療機関など、職場または日常生活において必要な情報を提供する。 |
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たとえば日常生活に関して提供すべき事項は、以下の9つが定められています。
特定技能外国人には、定期的に日本語を学習する機会を与えなければなりません。
義務的支援 | 地域の日本語教室や日本語教育機関を案内したり、学習教材やオンラインの日本語講座の紹介・準備をしたりなどの支援を実施する。必要に応じて手続きの補助を行う。 |
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任意的支援 | 特定技能外国人が日本語教室や講座に通う場合、入学費や教材費などを補助し、経済的支援を行う。支援責任者や担当者などが日本語の指導や講習などについて積極的に企画する。 |
特定技能外国人が、職場や日常生活で不安や困り事があった際に、相談できる場を提供する必要があります。対応した場合は、相談記録書(参考様式第5-4号)にその内容を記録し、地方出入国在留管理局へ提出しなければなりません。
義務的支援 | 特定技能外国人からの相談に対し、アドバイスや指導を行う。苦情が寄せられた際は、速やかに対応すること。その内容によっては、労働基準監督署や地方出入国在留管理局などの機関を案内し、同行して手続きのサポートを行う。 |
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任意的支援 | 相談窓口や、メールで相談ができるよう専用の連絡先を用意する。これらの情報を一覧にして、案内すること。 |
また、特定技能外国人が相談しやすいよう、夜間など就業時間外にも対応できる体制を整えることが求められます。連絡のとりやすいLINEなどのSNSを活用する方法もあります。
慣れない土地で職場と自宅の行き来だけでは、外国人もストレスを感じてしまう場合があります。地域で行われるお祭りやイベントなどに案内し、日本人と交流できる場を提供する支援が必要です。外国人に日本の文化を知ってもらう機会にもなるでしょう。
義務的支援 | 地域住民と交流できる場や自治会などを案内し、参加の手続きなどを補助する。必要に応じて同行し、イベントや行事の内容に関し説明を行う必要がある。 |
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任意的支援 | 有給休暇の付与や勤務時間の調整を行い、積極的に交流の場を設ける。社内で行事を企画し、交流を図る。 |
社内で季節に合わせた行事や、日本語の勉強会などを企画して、日本社員とコミュニケーションをとる機会を与えることも大切です。
受入れ機関の都合で特定技能外国人が退職する場合は、転職の支援を行う必要があります。転職支援を行った場合は、その内容を転職支援実施報告書(参考様式第5-12号)にまとめ、地方出入国在留管理局へ提出しなければなりません。
義務的支援 | 公共職業安定所の紹介、次の受入れ企業の情報提供など、次の受入れ機関を探すための補助を行う。推薦状が必要な場合は、作成する。そのほか求職活動を行うための有給休暇の付与や、離職時に必要な行政手続のサポートなど。 |
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特定技能外国人から相談や苦情がない場合でも、受入れ企業は定期的な面談を行わなければなりません。直接話す機会を設けることで、外国人の生活状況や職場での不安などを把握できるため、トラブルの防止にもつながります。
義務的支援 | 3カ月に1回以上、現場を監督する者と面談の機会を設ける必要がある。 |
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任意的支援 | トラブルがあった際に特定技能外国人が自ら通報できるよう、関係行政機関の窓口の情報を一覧にして、あらかじめ渡しておく。 |
特定技能外国人を受け入れに際し、登録支援機関の利用は必須ではありません。受入れ機関が外国人労働者を直接雇用し、9つの支援業務をすべて自社で行う方法もあります。ただし、必要な手続きや書類の準備を自己責任で行わなければならないうえに、外国人労働者の受け入れに関する法律や規制を遵守する知識が必要です。
自社で受け入れる場合はさまざまな要件があり、非常にハードルが高いため、外国人労働者の採用実績がない場合は、登録支援機関に委託する方法が一般的です。
2023年4月現在で、出入国在留管理庁のホームページには、8,137件もの登録支援機関が掲載されています。自社に合う登録支援機関を選ぶには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
スムーズなやり取りを実現するために、まずは対応可能言語を確認しましょう。採用したい外国人の言語がわかる人材が登録支援機関に在籍していない場合、支援業務が遂行できないと判断され、在籍資格が取得できない可能性があります。
特に重視すべき項目は支援業務の内容です。義務的支援はもちろん、任意的支援に関してどの程度実績があるか事前に確認するようにしてください。そのほか行政書士などが運営している機関であれば、書類の申請や手続きのサポートに関してオプションサービスが用意されている場合があります。
上記をチェックしたうえで、複数の機関より相見積もりをとると、自社に合う登録支援機関が見つけやすくなります。以下、登録支援機関が一覧でまとまっている出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿を参考に、問い合わせてみてください。
登録支援機関(Registered Support Organization) | 出入国在留管理庁
登録支援機関の選び方について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
上記の選び方を参考に、登録支援機関を選定したら委託契約を結びます。その際、地方出入国在留管理局へ届出が必要です。「第3-3-2号 支援委託契約の終了又は締結に係る届出書」に記入し、提出してください。
また、支援業務の一部を登録支援機関に委託する場合、「第1-17号 1号特定技能外国人支援計画書」において、支援を委託する業務を記載しなければなりません。計画書を提出する際には十分注意してください。